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プロバイダによる帯域制限とは?
ネットが遅い時に何が起きているのかをわかりやすく解説

プロバイダ・回線

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「急にネットが遅くなった。」「動画が途中で止まるようになった。」こうしたインターネットの通信品質の低下は多くのユーザーが抱える悩みです。

原因の一つとしてよく挙げられるのが、プロバイダによる帯域制限です。そもそも帯域とは何か、なぜ制限が行われるのか、どのような仕組みで通信速度が落ちるのかは、意外と知られておらず、突然の帯域制限に不安を感じる方も多いでしょう。

本記事では、帯域制限が発生する理由や仕組み、そしてユーザー側で取れる対策について、通信の専門知識がなくても理解できるようわかりやすく解説します。

目次

プロバイダの帯域制限とは?

そもそも「帯域」とは何か?

「帯域」とは、通信回線やネットワーク機器が、一定時間に送受信できるデータ量の上限を示す概念です。ネットワークがどれだけのデータを処理できるかを表す能力を「帯域幅」といい、帯域が広いほど多くのトラフィックを流せます。

道路に例えると、1車線よりも3車線のほうが一度に多くの車が通れるように、通信でも帯域が広いほど大量のデータを同時に送受信できます。

帯域が不足すると、ファイルのダウンロードが遅くなったり、アプリケーションの動作が重くなったり、コンテンツの表示に時間がかかるなど、ネットワークの品質が低下します。これが、ユーザーにとって「通信速度が遅い」と感じる理由です。

プロバイダによる帯域制限

プロバイダは、以下のような事象を検知した際、利用規約に基づき、意図的にユーザーの帯域を絞る「帯域制限(帯域制御)」を必要に応じて実施する場合があります。

  • 特定期間のデータ通信量が上限を超えたとき
  • ピーク時間帯でネットワークが混雑しているとき
  • 特定のアプリ・サービスがトラフィックを大量に占有しているとき
  • 利用規約上、制御を実施すると定められているとき

特に夜間はインターネットの利用者が増えるため、ネットワークが混雑しやすくなります。
プロバイダによっては、この混雑を緩和する目的で帯域制御を行う場合があります。

プロバイダが制限を行う理由

帯域制限が行われる最大の理由は、全てのユーザーが公平に通信を利用できるようにするためです。特定のユーザーだけが大容量通信を続けるとネットワークが混雑し、他のユーザーの通信品質が低下してしまいます。
そのためプロバイダは、QoSQuality of Service)などの技術を利用して通信品質を管理し、必要に応じて帯域を調整することで、サービス全体の安定性と公平性を保っています。

帯域制限以外にネットが遅くなる原因

「ネットが遅い=帯域制限」とは限りません。インターネットの通信品質が低下する原因は、多岐にわたります。

回線の混雑

夜間や休日などインターネットの利用者が増える時間帯は、同じ回線を共有しているユーザーの間でトラフィックが集中し、結果として通信速度が低下します。
混雑が激しい場合、速度が数十Mbpsから数Mbps程度まで落ち込むこともあり、体感的にも速度低下を感じ、通信の快適さが損なわれます。

回線方式(VDSL、CATV等)による制約

回線方式や契約プランによって、そもそも利用できる帯域幅が異なります。
マンションでよく採用されているVDSL方式は、電話線を利用しているため最大100Mbpsと帯域幅が比較的狭く、マンション内の利用状況によっては通信速度が低下しやすい傾向があります。
CATV(ケーブルテレビ)方式も同軸ケーブルの特性上、上り(アップロード)の帯域幅が比較的狭いため、大容量アップロード時に速度低下が目立つ傾向があります。

プロバイダの混雑

問題が回線ではなく、プロバイダ(ISP)の混雑側にあるケースもあります。回線の混雑で解説した内容は、プロバイダにも言えることで、帯域制限を意図的に実施していなくても起こりうる事象です。
特にPPPoE方式では地域やプロバイダの設備状況によって混雑の影響を受けやすい傾向があり、IPv6 IPoE方式に切り替えることで改善されるケースがあります。

ルーターやPCなど家庭内機器の不調

家庭内のネットワーク機器が原因で速度が低下することもあります。

  • 古いWi-Fiルーターの使用
  • 周波数帯(2.4GHz/5GHz)の設定不備
  • パソコンの高負荷状態やバックグラウンド通信
  • スマホ・タブレットなどのモバイル機器の劣化
  • 機器の配置場所や干渉による電波弱化

これらの影響でも通信品質は低下します。
特に古い機器は性能が不足している場合が多いため、適宜買い替えを行うなど通信環境全体を定期的に見直すことが重要です。

帯域制限が発生すると何が起きる?

通信速度の低下

帯域制限が発動すると、たとえ1Gbpsの回線プランで契約していても、実際の通信速度は大幅に低下します。速度別のインターネット利用への影響を以下に挙げます。

  • 〜1Mbps:スマホの“低速モード”相当。動作は重いが最低限の通信は可能。
  • 1〜3Mbps:スマホの“省データモード”レベル。低画質の動画なら視聴可能。
  • 3〜10Mbps:多くのサービスが問題なく利用可能。WEB会議も標準画質であれば可能。
  • 10〜30Mbps:一般家庭では快適に利用できるレベル。

速度目安

主にできること

動作に支障が出ること

1Mbps以下

LINE/メール送受信
・テキスト中心のWEB閲覧
・地図アプリの表示(やや遅い)

・画像の多いサイトが重い
YouTube 144p240pが限界
WEB会議(オンライン会議)は不安定(音声のみ推奨)
・大容量ダウンロードはほぼ不可

1~3Mbps程度

SNS(画像読み込みは遅い)
YouTube 240p360p
・音声通話(LINE/Zoom

WEB会議(オンライン会議)の映像が粗い
・高画質動画(480p以上)は厳しい
・ゲームのダウンロードに時間がかかる

3~10Mbps程度

YouTube 480p720p
WEB会議(オンライン会議)(標準画質)
SNSWEB閲覧は概ね問題なし

YouTube 1080p以上は不安定
・複数人同時利用で重くなる
・高画質画像や大量ダウンロードは遅い

10~30Mbps程度

YouTube 1080p
WEB会議(オンライン会議)(HD
・大半の用途で快適
・オンラインゲームのプレイ自体は可能

4K動画視聴は途中で停止する可能性
・複数台同時で動画視聴はやや負荷

30Mbps以上

4K動画視聴ほぼ問題なし
・複数台接続でも快適
・クラウド同期も実用レベル
・ゲームダウンロードも比較的速い

・超大容量ダウンロードは高速回線よりは遅い

※速度の目安はあくまで一般的な傾向であり、実際の必要速度はサービスや時間帯により変動します。

画像・動画コンテンツを多く含むサービスへの影響

帯域制限が発動した場合、画像・動画を多く使用するサービスでは影響が大きくなります。

  • 動画視聴:画質が自動で落ちる、読み込みが長くなる、途中で止まる
  • オンライン会議(WEB会議):音声が途切れる、映像が固まる
  • オンラインゲーム:操作の遅延、ラグ、切断の発生

通信の優先度が変わるため、リアルタイム性の高いサービスほど影響が顕著に現れます。

データのアップロード・ダウンロードの制限

帯域制限中は、大容量ファイルの送受信が大幅に遅くなり、場合によっては完了しないこともあります。

  • 動画や大容量ファイルの送信
  • 動画投稿(YouTube など)
  • クラウドストレージの同期(Google Drive、OneDrive等)

業務用ツールを利用している場合にも影響が出るため、特にテレワーク環境では注意が必要です。

帯域制限の主なパターン

帯域制限には、主に以下のようなパターンがあります。

一定時間帯の速度制御(ピークタイム制限)

利用が集中する夜間のトラフィックを管理する目的で、19時〜23時など特定の時間帯のみ速度が制限されることがあります。
また、特定のアプリケーションの利用のみが制限されるケースもあります。

動画・P2Pなど特定サービスへの制限

帯域を長時間占有しやすいサービスに対して、個別に制御を行うプロバイダも存在します。動画サイトやP2Pソフトが対象になることが多く、このような制限は利用規約に記載されている場合がほとんどです。

3日間の通信量上限による制限

主にモバイル回線(モバイルWi-Fiなど)で導入される方式で、3日間の合計通信量が一定の基準を超えると、翌日まで通信速度が低下する仕組みです。
短期間での大量通信を抑える目的で設けられており、動画の連続視聴や大容量ファイルのダウンロードによって制限が発生する場合があります。

モバイル回線の「○GB制限」

スマートフォンで一般的な制限です。月間データ容量を超過すると、128kbps1Mbps程度まで速度が低下し、多くのコンテンツが利用しづらくなります。

帯域制限の解決策

通信方式の見直し(IPv6 IPoE / QoS)

通信方式をIPv6 IPoEに変更することで、混雑しやすいPPPoEを回避でき、速度が改善されるケースがあります。
また、社内ネットワークではQoS設定を導入することで、重要な業務アプリの通信を優先し、通信品質を確保できます。

回線プランの見直し

利用中の回線方式によっては、そもそも帯域幅が狭く、混雑や制御による影響を受けやすい場合があります。

例 )
VDSL → 光配線方式へ変更
CATV → 光回線へ変更

これの変更だけで通信速度が大幅に改善するケースもあります。

回線やプロバイダの乗り換え

回線やプロバイダ側のネットワーク設備が混雑している場合は、回線やプロバイダの乗り換え(事業者変更)が最も効果的です。契約前に利用規約や帯域制限に関するポリシーを確認し、制限の少ない事業者を選ぶことが重要です。

まとめ

帯域制限は、プロバイダがネットワークの品質を保つために実施する大切な仕組みだよ。でも、ユーザーにとって急な速度低下は、原因が分からず不安になることもあるよね。
ネットが遅いと感じた時は、帯域制限以外にも回線の契約プラン・接続方式・設備状況・機器の不調などいろいろな要因を確認する必要があるよ。
契約内容や通信環境を見直したり、必要であれば回線やプロバイダの乗り換えを検討したりして、快適なインターネット環境を実現しよう!

ちなみに、もめちゃんノートを運営するかもめインターネットは通常の利用範囲において帯域制限は原則行っていないよ。帯域制限で困っているなら、ぜひプロバイダ選びの候補に入れてね。

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1996年に神奈川県発の地域プロバイダとしてスタートした老舗のプロバイダです。
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長期契約による縛りや解約違約金がなく無料お試しOKなので、ネット環境にお悩みでしたらまず品質をお試しください。

  • *1 通信速度測定サイト「みんなのネット回線速度」フレッツ光対応プロバイダ部門、2024年7月1日時点(ランキングは都度変動します。)
  • *2 2021年度かもめインターネット入会者向けアンケート、123件の回答による。

ライター
もめちゃんノート編集部

もめちゃんノートは運営実績25年の老舗プロバイダ「かもめインターネット」がお届けする快適なネットライフに役立つメディアです。
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